ふじみ野通信

ふじみ野通信6 社会保障制度の考えかた

 厚生労働省の9月16日の発表によると、09年度の医療費の概算は前年度比3.5%増えて35兆3000億円になった。実額で1兆2000億円の増加ある。高齢者の増加、高度医療の進歩で高額医療が増えて、70歳の以上の医療費は前年比5.5%増えて全体の44%を占める。

 医療費は会社員や自営業者が支払う保険料から約半分、税金で約4割弱、患者本人が窓口で支払うもの1割りで支えられている。したがって、医療費が増えれば当然これらの負担も増えるガ、いずれの健保もこの負担には抵抗を示している。
 
 70歳以上44%と言えば、金額にして15兆5320億円である。70歳以上の人口は約2,030万人であるから、1人あたりの医療費は76.5万円。月になおして6万3,750円、1割負担として6,375円。その時の70歳以下の人口は、1億人強であるから残された医療費19兆7,680億は1人当たり18.5万円、月にして15,400円、3割負担として4,620円である。

 此れをどう考えるべきかは、一概に言うことはできないが、70歳の実感としていえば、日常的にそれほど遠い実感ではないような気がするのである。

 此れはどういう問題であろうか。

 出生については、かつての中国のように、また戦前にあった女性開放運動のように一夫婦の産児を制限するということは現在の日本にはない。しかし世界一の寿命の長さを誇るわが国にも、寿命の制限を設けることはできない。その意味では、「おりんさん」はいなくなったといって良いかもしれないが、一度、目を世界に転じてみれば事はなかなかそう単純ではない。栄養失調で死ぬか、疾病で死ぬか、理由は区区であるけれども人口の自然調整が厳しく作用しているのが現実である。現実ではあるけれども、人間がみずからの寿命を調節できるわけではない。此れが人間の限界である。

 今、社会保障制度のような、人間の試みとしては画期的な試みを進行しようとするとき、予想され得る「自然」の変化を常に吟味するような議論がなければ、人間社会の「自然」を「制度」とすることはできないのかもしれない。其れが何なのかを今言うことはできないが、何十年から何百年に及ぶサイクル仮説が地球世界を、宇宙を包むような議論が必要な気がする。其れはコンドラチェフの波では足りないし、アトランティスの波でも足りない。あるいは人類史の回帰説でもいいが、大きく自然や宇宙を議論するシミュレーションが必要な時期に来ているのかもしれない。

2010.10.18 田沼

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by esapp | 2010-10-18 14:25