ふじみ野通信

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ふじみ野通信7 EU加盟国の平均寿命(07年)

・日米の平均寿命
 「ブリタニカ」の比較によると、1900年の日米の寿命の平均はアメリカの男子45才/女子48才にたいして日本の男子42歳/女子45才とわずかに3才ほどアメリカが長寿であった。1900年といえば、日本は明治33年で日清・日露両戦役の間の国際的な緊張感のたかいなかで「富国強兵」策の仕上げの時期であり、アメリカでは南北戦争の余波が静まり経済成長も緒についた時代であった。其れからさらに90年後の1990年を見ると、日本人の平均寿命は男子75才/女子82才となり、アメリカの其れは男子72才/女子79才となって日米較差は逆転して日本のほうが3才の長寿国になっている。

 この意味するところは様々に考えられるかもしれないが、いずれにしてもこの90年の内に日本の男子33才/女子37才、アメリカの男子27才/女子31才、平均寿命が伸びている。日米差でいえば、男女とも6才の長寿を日本は果たして3才の長寿国となっている。この傾向は、男女差を一本化した2007年のデータでもつづいており日本82.7才、アメリカ79.1歳で3才の寿命差は変わっていない。多分、このころに日本は「世界最長寿国」になったのであるが、日本の人口は2000年にはいって現象に転じて12,700万人に止まり、アメリカは約3億人と増加している。

 この90年は、植民地戦争から第2次世界大戦を挟んで経済復興と経済成長を果して、ある意味で戦後世界の転換点を迎えた時期でもある。経済構造も大きく変わっている。円高も変わらないであろうから、所得表記も変わるであろう。そう考えると、今後の我々の課題も非常にシビアになると考えたほうが良いかもしれない。

・此処で言う平均寿命とは、ある人間集団の生存年数の総計を生存者聡数で割ってえた数値である。平均余命が、死亡統計にもとづいて計算された仮想的な数値であるのと、その点が違うところである。

・EUの平均寿命・所得・人口
まず、ヨーロッパの人口は2009年の統計で7億3,126万人であるが、このうちロシアの1億4千万を除くと5億9,129万。このうちEU加盟国は4億9,436万人で83.6%を占めている。比較的大規模な非加盟国は、国民所得4,592億ドルのスイス、3,692億ドルのノルウェーである。

 EU加盟国の特徴は、一人当たりの国民所得が1万ドル以下の国が旧共産圏諸国のブルガリア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、ポーランドの5カ国に限られており、旧共産圏諸国の加盟者でもチェコ14,580ドル、ハンガリー11,690ドル、エストニア12,830ドル、スロバキア11,720ドル、スロベニア21,510ドルは其れを凌駕している。

 第2の特徴は、平均寿命が70歳代から80才の内に全て納まっていることである。その意味でいえば、旧共産圏諸国の平均寿命はルーマニアの79.4才、スロベニアの78.2才を除いて、すべて75才以下に納まる点である。加盟国の中枢は、イタリア81.1、スウェーデン80.8、スペイン80.7、フランス81.0、イギリス79.3、ドイツ79.8、ベルギー79.5、6、オランダ79.8、等である。

 したがって、EUの今後の課題は社会保障制度の確立であり、その為の経済成長を域内で確立していくことが第一の課題となる環境にある。

     EU加盟国の平均寿命(2007年)
    ―――――――――――――――――――――――
国 名 一人当たり所得平均寿命 人口(09)
         (㌦)    (歳)     (千人)
 アイルランド 47,610.    79.7       4,515. 
 イギリス   40,660.     9.3       61,565. 
 イタリア   33,490.    81.1       59,870.
 エストニア  12,830.    72.9       1,340.
 オーストリア 41,960.    79.9       8,364.
 オランダ   45,650.    79.8       16,592.
 ギリシャ   25,740.    79.1       11,161.
 スウェーデン 47,870.    80.8        8,249.
 スペイン   29,290.    80.7       44,904.
 スロバキア  11,720.    74.6       5,406.
 スロベニア  21,510.    78.2       2,020.
 チェコ    14,580.    76.4       10,369.
 デンマーク  55,440.    78.2       5,470.
 ドイツ    38,990.    79.8       82,167.
 ハンガリー  11,680.    73.3       9,990.
 フィンランド 44,300.    79.5       5,326.
 フランス   38,810.    81.0       62,343.
 ブルガリア   4,580.    73.1       7,545.
 ベルギー   41,110.    79.5       10,647. 
 ポーランド   9,850.    75.1       38,074.
 ポルトガル  18,950.    78.6       10,707.
 マルタ    16,680.    79.6         409.
 モナコ    40,421.    80.1         32.
 ラトビア    9,920.    72.3        2,249.
 リトアニア   9,770.    71.8        3,289.
 ルクセンブルク72,430.    72.5        486.
 ルーマニア   6,890.    79.4        21,275.
 ―――――――――――――――――――――――――
  
・個人所得の比較的高いのが概して小国である。大国で高いのは、イギリス、フランス、ドイツなのは論を待たない。今後の課題は、旧共産圏から参加した諸国、EUの中に抱えた発展途上国が今後何年ぐらいで社会保障制度を議論できるようになるだろうか。EU25カ国の年金支給年齢を67乃至68才とする申し合わせは、これらの途上国が2020年までにはその個人所得も1万ドルを超えて2万ドルに迫り得る、という目算が合っての事なのかもしれない。

 平均寿命からいえば、EU内の途上国も含めて成熟期に入った人口構成をもっていると思われるから、その意味でEUに残された年月は5年から7年位か。05年から09年までみても人口はほとんど増加していないから、今後の5年ぐらいに将来を占うような結果が期待されなければならない事になるのかもしれない。

2010.10.29 田沼

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by esapp | 2010-10-29 16:06

ふじみ野通信6 社会保障制度の考えかた

 厚生労働省の9月16日の発表によると、09年度の医療費の概算は前年度比3.5%増えて35兆3000億円になった。実額で1兆2000億円の増加ある。高齢者の増加、高度医療の進歩で高額医療が増えて、70歳の以上の医療費は前年比5.5%増えて全体の44%を占める。

 医療費は会社員や自営業者が支払う保険料から約半分、税金で約4割弱、患者本人が窓口で支払うもの1割りで支えられている。したがって、医療費が増えれば当然これらの負担も増えるガ、いずれの健保もこの負担には抵抗を示している。
 
 70歳以上44%と言えば、金額にして15兆5320億円である。70歳以上の人口は約2,030万人であるから、1人あたりの医療費は76.5万円。月になおして6万3,750円、1割負担として6,375円。その時の70歳以下の人口は、1億人強であるから残された医療費19兆7,680億は1人当たり18.5万円、月にして15,400円、3割負担として4,620円である。

 此れをどう考えるべきかは、一概に言うことはできないが、70歳の実感としていえば、日常的にそれほど遠い実感ではないような気がするのである。

 此れはどういう問題であろうか。

 出生については、かつての中国のように、また戦前にあった女性開放運動のように一夫婦の産児を制限するということは現在の日本にはない。しかし世界一の寿命の長さを誇るわが国にも、寿命の制限を設けることはできない。その意味では、「おりんさん」はいなくなったといって良いかもしれないが、一度、目を世界に転じてみれば事はなかなかそう単純ではない。栄養失調で死ぬか、疾病で死ぬか、理由は区区であるけれども人口の自然調整が厳しく作用しているのが現実である。現実ではあるけれども、人間がみずからの寿命を調節できるわけではない。此れが人間の限界である。

 今、社会保障制度のような、人間の試みとしては画期的な試みを進行しようとするとき、予想され得る「自然」の変化を常に吟味するような議論がなければ、人間社会の「自然」を「制度」とすることはできないのかもしれない。其れが何なのかを今言うことはできないが、何十年から何百年に及ぶサイクル仮説が地球世界を、宇宙を包むような議論が必要な気がする。其れはコンドラチェフの波では足りないし、アトランティスの波でも足りない。あるいは人類史の回帰説でもいいが、大きく自然や宇宙を議論するシミュレーションが必要な時期に来ているのかもしれない。

2010.10.18 田沼

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by esapp | 2010-10-18 14:25

ふじみ野通信5 誕生・生成・老後終末の基礎構造 -今、推論できる2010年の人口-

 最近、高齢者の存在が確認されなければならない事情が「社会面」から生じている。法務省の調査によると、100歳以上の所在不明者が二十数万人いるそうである。出生に比べると、それほど老後の認識は甘かったといえるかもしれないが、別の意味でいえば何時まで生きていてもかまわなかったわけである。少なくとも、人間の終末について「決まり」を設けることはできない、と言う倫理である。

 現在、終末を確認できる確実な方法は、医師の死亡診断書による届け出(これには行旅死亡人も含む)であるが、失踪人はその生死を定めがたい。だから常に総数のブレはあるものかもしれない。

 それはともかく、誕生から成人まで、稼働年齢になってから65歳まで、65歳以上。75歳以上は後期高齢者と言う区分があるから、其れも必要かもしれない。此処では其れを一括して65歳以上として推計し(基礎データは日本統計協会「市町村の将来人口」。)75歳以上は、65歳以上と並列比率として推計した。したがって、総計は75歳以上の数値のみ100%からはみ出ている。なお、75歳以上の人口比の平均値は後期高齢者医療制度の加入者(約1400万人)を元に推計すると、2010年現在総人口の11%である。

〔2010年 年齢階層別 県別 人口比率 〕単位 %  
 
地 名      0~19歳  20~64歳  65歳以上  75歳以上

北海道       16.9      59.2     23.7     11.5

青 森       18.0      57.9     23.9     11.7
岩 手       17.9      56.6     25.4     13.2
山 形       17.8      56.1     25.9     14.1
宮 城       18.5      60.2     21.1     10.5
秋 田       16.1      56.0     27.8     14.8
福 島       14.1      57.4     23.4     12.3

群 馬       18.8      58.6     22.4     10.8
栃 木       18.5      60.2     21.2     10.2 
埼 玉       18.6      61.2     20.0     7.9 
千 葉       17.9      60.9     21.1     8.8
東京都       15.8      63.1     21.0     9.7
茨 城       18.6      59.6     21.6     10.0
神奈川       18.3      61.8     19.8     8.4 

新 潟       17.9      56.7     25.0     13.2
富 山       17.6      57.0     25.2     12.7
石 川       18.9      58.2     22.8     11.3 
福 井       19.3      56.8     23.8     12.5
山 梨       19.5      57.3     23.0     12.3
長 野       18.7      56.4     24.7     12.9 

岐 阜       19.2      57.6     23.1     11.0
静 岡       18.3      56.6     23.0     10.9
愛 知       19.9      59.9     20.1     8.6
三 重       18.9      57.6     23.4     11.3

滋 賀       20.3      60.2     19.3     9.1
京都府       18.0      59.0     22.8     10.7
大阪府       18.7      59.5     21.6     9.1
兵 庫       18.8      59.1     21.9     10.2
奈 良       18.8      58.5     22.5     10.2
和歌山       18.3      55.8     25.7     13.0

鳥 取       18.2      56.7     24.9     13.5
島 根       17.7      54.7     27.4     15.4
岡 山       19.0      56.5     24.4     12.4
広 島       18.6      58.0     23.2     11.4
山 口       17.3      55.6     27.0     13.8

徳 島       17.2      57.4     25.2     13.4
香 川       18.1      57.2     24.5     12.8
愛 媛       17.7      56.7     25.4     13.2
高 知       16.8      55.9     27.1     14.6

福 岡       18.6      59.7     21.5     10.5
佐 賀       20.0      56.5     23.4     12.4
長 崎       19.0      56.2     24.6     13.0
熊 本       18.9      56.4     24.6     13.3 
大 分       17.9      56.1     25.9     13.5
宮 崎       19.0      56.2     24.6     12.99
鹿児島       18.6      56.4     24.9     13.6

沖 縄       24.0      58.7     17.2     8.5

2010年の総人口推計 127,169,000人。

2010.10.14 田沼

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by esapp | 2010-10-14 09:57

ふじみ野通信4 社会保障制度の社会

 社会保障制度は、もともとその社会の生産力を素地に成立している、あるいは常に成立しようとしている、と言うほうが正しいかもしれない。しかし其れは、常に所得の上昇を前提にしているわけではないが、下降していくことを前提にしているわけでもない。制度は制度である以上、常にある一定の変化率の基に納まるのでなければ成立しえないであろう。

 しかし一方で、年金基金が株式や債券の運用によって利をうるのでなければ成り立たないことも当然である。投下資金に対して配当や利ざやを生む事がなければ、年金の支払いは成り立たない。では何処でその利を生むか。社会保障制度社会の中で、自らの経済活動でその「利」を生みつづけるのは至難の技である。何故なら、社会保証制度の社会は発達した資本主義社会であって、自らが投資対象となるような発達段階を過ぎているからである。利を生むのは、発達過程の経済社会である。

 かつてソ連が共産主義社会のなかで、社会保障制度を創ったのは極めて独創的ではあったが、自らの生産活動のなかに投資効果は認められなかったのである。共産主義社会の欠点は、流動的であるはずの組織の活動を自ら抑えてしまうことで、自らを拘束してしまったからである。中国は、その轍を踏まずに成功しようとしているが、制度の精神としてはいずれ来る運命であるような気もする。社会主義の制度が「制度の精神」を軸にして流動化することができれば、いままでになかった社会が出来上がるかもしれない。

 今発展過程にあるアジア、アフリカの諸国は、日ならずして国民所得も上昇して「社会保障制度のある社会」を創ることを目指すであろう。

 先進諸国の轍は踏むまいとするであろうが、「社会保障制度」の考えかた、その構造に苦慮することには成るであろう。何しろ自ら投資対象だった時代が過ぎて、世界の景観は随分と変わるであろうからである。

 日本の社会保障制度の成立の過程を見ると、巷には汚職があったり、政治腐敗があったりということはあったが、労働組合の成立もあって所与のこととして「社会保障制度は」出来上がって行ったと言う気がする。しかし、経済活動に直接何らかの影響を与えたとも思われないが、労働分配率についてはかなり教育的、実際的な効果をもたらしたのはやはり第三の政治勢力としての労働組合運動の力によるところが大きかった。

 そして、其れを後押ししたのが象徴的な「安保反対」に見るような学生運動だったのではなかろうか。三井三池を除けば、それほど過激な労働運動はなかったから、やはりあとおししたのは学生運動だったかもしれない。

 政治的にも、第三の力がなければ道は曲がりやすいのかもしれない。

2010.10.13 田沼

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by esapp | 2010-10-13 09:59

ふじみ野通信3 65歳以上、最多の23.1%② 社保受益者からのコメント

 この「65歳以上、最多の23.1%」にはわが国の社会制度、社会保障制度を考える上で極めて深刻な問題を含んでいるかもしれない。

例えば、身近な例では「国民健康保険」である。公的医療保険としては、

・国民健康保険、市町村国保(此れは自営業者、無職者等全ての加入が可)
の加入者 約3600万人
・協会健保、(中小企業の会社員と家族の加入) 加入者約3400万人
・健保組合、(大企業の会社員と家族の加入) 加入者約2800万人
・共済組合(公務員、私学教員と家族の加入) 加入者約800万人
・後期高齢者医療制度(75歳以上の高齢者加入) 加入者約1400万人

加入者数の合計 約12000万

がある。構造としては協会健保、健保組合、共済組合も退職者とその家族は特例を除いてこの対象には含まれない。この3つの健保で稼働している人々とその家族が加入していると言うことになる。その数約7000万人である。罹病率は協会健保、健保組合、共済組合の順に高まるが、其れでも国民健保や後期高齢者制度と比べればはるかに低い。

 つまり、稼働中の人口は健康面でも比較的良く管理されていると言うことができるが、中小企業主体の協会健保は恒常的な赤字である。此れは罹病率もあるが、何よりもこの加入者の所得が上がらないのが主たる要因である。また、健保組合も次第に赤字健保が増えて解散している大企業健保も多くなっているが、此れは世界的な医療費の高騰が原因と言われている。

 後期高齢者医療制度は、一応各健保組合の負担と政府負担と当事者負担とで掛け金を分担することで発足したが、此れはまだ日が浅いので結果はまだわからない。

 問題のはっきり出ているのは、「国民健康保険」である。給与所得者とその家族を除く保険で加入者は約3600万人である。全国約1800の市町村がそれぞれ運営しているが、医療費の総額は年間約10兆円である。窓口負担を除いた給付費の約5割を税金による公費負担で賄っている。

 もともとは自営業者や農林水産業者を中心とする公的保険として創設されたが、近年は退職で勤め先の被用者保険から移った高齢者やフリーター、無職者等の加入が急増している。給付が増える一方で低所得者の増加で保険料は伸びず、2008年度は約5割の赤字で、一般会計からの繰り入れで赤字を埋める市町村が多いのが実情であるという。

2010.10.8 田沼

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by esapp | 2010-10-08 19:39

ふじみ野通信2 65歳以上、最多の23.1%①  総務省 社保受益者のコメント

 総務省が敬老の日にちなんで発表した、9月15日時点での推計人口である。人数にして2944万人、内80歳以上は826万人で1950年の調査開始以来、はじめての水準である。少子化で総人口が減る一方で、人口の高齢化が急速に進んでいる事を改めて印象づけた。というのが新聞記事である。

 これだけでは少し一方的すぎると思ったのか、さらに2009年の65歳以上の就業者数は565万人で、男性28%、女性13%と推計している。

 此処でまず、このデータの前提となる事実、あるいは実感について考えてみたい。

 65歳以上の就業者565万人というのは、年齢階層総数2944万人の19.1%である。この統計上は残りの80.9%、2379万人は就業していない、と言う計算である。もちろん、就業していなくても議論する余地はないわけであるけれども、もう少しこの年代の就業率を検討してみよう。

 此処に、後期高齢者医療制度と言うのが合って、加入者約1400万(75歳以上)と言う保険制度が発表した数字によって推論してみると、この75歳以上の人口、この後期高齢者はもう働いていない人と言う風に考えると、65歳以上74歳までの人口は1544万人と推定できるから、先にあげた565万人の就業者は同年代人口に対して36.5%の就業率をもっているということになる。この就業者は、「全就業者」と言うときに含まれているのかどうか。それはわからないが、年金制度からすれば例外をのぞいて含まれていない数である。

 単純に失業者数が5%と言うときには、全就業者、年齢区分に関わらず総数として考えているとすれば失業の観念というのには、職を失って探している人もいれば職場を去って隠居した人も入ることになるから、「就業総数」と言う数字にはその区分が判然としていない。いずれにしろ、隠居しないで働いている565万人は随分と失業率を薄めている勘定になる。例えば、就労人口6500万人と仮定すると565万人は8.6%を占めていることになる。

 次に、「80歳以上人口が800万人を超えた」というのはどういうことを意味しているのだろうか。慶べと言っているのか、悲しめといっているのか。

 例えば、わが国には後期高齢者区分という75歳以上の医療保険区分ができるまでは65歳以降、此れも実質は60歳だと言う気がするが、区分はなかったのである。職場を止めてしまった後は一律に「老人」として過ごしていて、おりんさんの状態になることであった。現在でも、保険区分以外では年齢区分はない。働いている人と働かなくなった人の区分しかない。そうだとすると、65歳以上というのは稼働年齢層、仮に20歳から64歳までだとすると、それの負担が増えるといいたい数字なのであろうかと言うことになる。

 しかし不動産の所有者に占めるこの年齢層の比重は必ずしも低いものではないであろう。あるいは、それがあるからこそ「行旅死亡人」にならずに済むのかもしれないが、いずれにしてもこれらの年齢層は社会的には、所与の事として考えなければならない存在である。

 むしろ問題は、常識的なことであるが中心となる就労者全体の将来を含む制度の問題があるであろう。此れは極めてすぐれた制度ではあるが、問題もある。

 例えば、現在の国民年金は20歳以上60歳までの全員の加入を義務づけている。2009年末時点の加入者総数は6878万人。うち、自営業者などの「第一号被保険者は」1985万人で、月額15000円の保険料を自分で納める。厚生年金に加入する会社員は、「第2号被保険者」で国民年金保険料も給料から天引きされている。会社員の場合、此れに重ねて企業年金を設けている例が多い。

 「国民年金は」原則25年以上保険料を納めていれば受給資格が生まれるが、20歳から60歳までの40年間を100%として、其れ以内の掛け金期間であればその分減額されるし、掛け金が25年以下だと無年金者となる。と言う制度であるが、保険料の納付率ははなはだ良くない。2009年度で遂に6割を割って59.98%となった。

 納付率の低下には、いろいろな原因が考えられる。一つは25年で資格者となるのであればそれでもいいという判断、就労が65歳までに伸びたのに掛け金は60歳だとする制度への不信感に代弁される要素もあるであろう。例えば、保険料は払ったのに支払い段階でどうなるか、と言う不安である。保険会社が倒産したときに、払われなくなった保険金の例も重く感じられているだろう。

 ギリシャやその他、国のデフォルトには国民の犠牲がつきまとう世界的な例もある。

2010.10.6 田沼

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by esapp | 2010-10-06 11:55